職域産業から<3>
「産業保健師活動研究会」第1回研修会を開催して
産業保健師活動研究会 事務局長 大石 章子
職域保健から、地域・学校保健へのメッセージ(3)
第1回研修会の様子(9月27日)シンポジウムで活発に討議
産業保健師活動研究会(略称=産業保健師会)が正式に立ち上がったのは2008年3月1日ですが、この会として初回の研修会を今年の9月27日開催することができました(前号で既報)。シンポジウムでは目下、社会的にも関心の高まっている「特定健診・特定保健指導」の実践を始めた産業保健師から発言していただきましたが、会員に限らず多数のご参加をいただき、活発な討論会になりました。
医療保険者に義務付けられた特定保健指導への関わり方は、所属が企業であるか、健保組合であるか、委託を受ける保健指導機関であるかにより関わり方や期待されるものも異なります。
例えば企業においてはまず労働安全衛生法に基づく労働衛生管理が優先です。「特定健診・特定保健指導」は40歳から74歳と対象の幅が限られますが、事業場における健康管理は全社員が対象であり、労働者の健康障害に関わるものはすべてに対策が必要です。マンパワー、予算だけでなく、労働者の離席時間の限界等もあり、目前のリスクマネジメントが先になります。生活習慣病予防対策にしてもまず有病者が優先になります。
企業の立場で発言した保健師は、「健保組合と協同して保健指導に取り組むことになった当初は、業務が増えると心配した。しかし、今回の特定保健指導ではこれまで優先できなかった予防活動に力を入れることができる。治療レベルに進む前に保健指導を実施して予防ができれば労働者の生涯のQOL(生活の質)をよりよく保つ支援ができる」と積極的に捉えていました。
どのシンポジストの発言にも、課題を前向きに捉え、自身の考え方と健康施策を具体的にどのような手順で事業者等に提言しているかが報告されていました。方法は場に応じて多種多様ですが、産業保健師には労働者の職務、作業の状況や職場の環境、出張、労働時間、通勤時間等、家庭においては生活を支える人というようなことまで含めた労働者の生活はもちろん、特に最近のような社会経済情勢下では事業場の経営状態まで視野に入れて、その職場に適合した健康施策を提言していくプレゼンテーション能力もポイントであることが伝わりました。
課題としては、シンポジストだけでなくフロアからも、40歳未満にもハイリスク群の予備軍が多いことや、肥満でなくても生活改善が有効と考えられる有所見者の存在、メンタルヘルスと絡んでいるケースへの対処などが挙げられました。これらの課題への取り組み方に対しても、シンポジウムでヒントを得ることができ、エンパワーされた参加者も多かったのではないかと思います。これからに向けて――
事後のアンケート調査でも、
・いろいろな立場の実施方法や実情が聞けた
・自分の取り組みの整理ができた
・自分の課題、展望が浮かんできた
等の意見が多数ありました。産業保健師ならではの活動の真髄も垣間見えたのではないかと思います。
特定保健指導に関しては、アンケートの中に「地域住民はどうなっているのだろう」というものもありました。健保組合の立場として扶養家族の問題があるので、そこからの意見と思われます。家族を通して職域の保健活動と地域の保健活動の連携も浮かんできます。国民の健康支援のために更に連携を進められることを期待しています。
シンポジウムに先立ち午前の部では、本会会員のみ対象として「産業保健師活動研究会設立後の活動報告」と「日本産業衛生学会産業看護部会との相違について」の説明を通して、本会の活動趣旨や立場の確認をしました。
「日本産業衛生学会産業看護部会との相違について」では、産業看護部会の活動が紹介されました。
・「登録産業看護師」の養成は保健指導・サービスを提供する産業看護の専門を持った看護職を多数育成する目的として実施していること
・産業看護職の法制化について、学会の労働衛生関連法制度検討委員会の「産業看護職の法制化に関するワーキンググループ」で検討続行中であること等でした。
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