第666号 平成21年9月1日発行
 
今月のページ
平成21年度 健やか親子21全国大会
(母子保健家族計画全国大会)にむけて
先天色覚異常と社会生活666.html#topics01
発売後10年で変わったOC事情
はやね・はやおき げんきっこ
総合健康保険組合における健康支援
―ポピュレーションアプローチによる禁煙支援―
思春期はいま ―思春期保健相談士への期待―F

 

 

第7回思春期保健相談士学術研究大会 大阪で開催

「パーソナリティ障害(人格障害)」をメインテーマに「パーソナリティ障害(人格障害)」をメインテーマに「パーソナリティ障害(人格障害)」をメインテーマに


全国から多様な職種が参加

森本会長

第七回思春期保健相談士学術研究大会(大会長=森崇・北九州津屋崎病院副院長)が8月15日、大阪市東淀川区の大阪コロナホテルで開催された(主催=本会、後援=厚生労働省、日本思春期学会、(財)日本性教育協会、大阪府、大阪府教育委員会、大阪市、大阪市教育委員会、とちぎ思春期研究会、ちば思春期研究会、九州思春期研究会)。メインテーマは「パーソナリティ障害(人格障害)」。思春期保健相談士ら119人が参加し、基調講演のほか、一般学術演題が14題報告された。

 基調講演は森大会長が座長を務め、佐藤矢市人格障害研究センター代表が「人格障害とその対応〜受け止め方を知る〜」と題して行った。佐藤氏はパーソナリティ障害の基礎的な知識について、豊富な臨床経験をもとに詳しく解説。思春期保健相談士としての受け止め方についても具体的な提言を示した(講演の概要は次号に掲載予定)。
  一般学術演題報告は、荒木均(社)いはらき思春期保健協会副会長、高村寿子自治医科大学公衆衛生学部門看護学部客員教授が座長を務め、二つのセッションに分けて各七題発表された。反復人工妊娠中絶の現状、行政とNPOとの連携による思春期保健事業、学校における性教育、家庭医に対するワークショップの実践、病院内でのボランティア活動、地域でのピアカウンセリング活動などの報告がなされた。
  本大会はこれまで東京(第一回、第二回、第六回)、千葉(第三回)、福岡(第四回)、栃木(第五回)で開催されてきたが、今回は初の関西地区での開催となった。平成17年度に思春期保健相談士を養成する「思春期保健セミナー」のコースTを初めて大阪で開催して以来、毎年大阪で同セミナーを開催しており、本大会は満を持しての開催となった。また本大会は、当初6月6日に開催を予定していたが、新型インフルエンザの集団感染防止のため、約二か月開催を延期した。
  次回の第八回大会(大会長=荒堀憲二伊東市立伊東病院院長)は、平成22年6月5日(土)、「思春期からの子宮頸がん予防」をメインテーマに東京で開催予定。

 

全国大会開催要領

【開 催 日】 11月10日(火)〜11月12日(木)
茶畑から富士山を望む
【会  場】 静岡市民文化会館中ホール
【主  催】 厚生労働省、静岡県、静岡市、(社福)恩賜財団母子愛育会、(社)日本家族計画協会、(社)母子保健推進会議【参加者】母子保健事業及び家族計画事業関係者
【主なプログラム】 ◎特別講演「知情意体を合わせ持つ」齋藤孝氏(明治大学教授)
◎シンポジウム「親のちからを育てる支援のあり方」
○基調講演「現代の子産み・子育てと親支援」佐藤拓代氏(大阪府富田林保健所長)
○コーディネーター=佐藤拓代氏
○シンポジスト=松下きみ子氏(掛川市保健予防課母子保健係)福島京子氏(富士宮市保健福祉部家庭児童相談室)堀江由香里氏(NPO法人フローレンス伝える変える事業部)
【問合せ】 静岡県厚生部子ども家庭室母子係TEL:054(221)2993

 

平成21年度「家族計画自由集会」(静岡)

参加者募集

 平成21年度健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)併設として、家族計画自由集会(主催=社団法人日本家族計画協会)を開催いたします。
  今年度は、『低用量経口避妊薬発売から10年〜女性のQOL向上に果たした役割〜』をテーマとして、1999年9月2日に低用量経口避妊薬(OC)が発売されてから、日本人女性の生活に、OCがどのような影響を及ぼすことになったのか、女性のQOL向上に果たした役割について、参加された皆さんと自由活発な議論を展開したいと考えております。



【開催日時】 11月12日(木) 13時30分〜15時30分
【会  場】 静岡市民文化会館 大会議室(三階)
【演  題】 @低用量経口避妊薬発売から十年。この間に何がどう変わったか、A低用量経口避妊薬に期待される効用・副効用、B低用量経口避妊薬処方に際して工夫していること、C低用量経口避妊薬を使って何が変わったか
【座  長】 北村邦夫(本会常務理事・家族計画研究センター所長)
【演  者】 安達知子(恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院産婦人科部長)、宮崎千恵子(医療法人社団萌生会宮塔Nリニック副院長)、一般の低用量経口避妊薬服用者
【対 象者】 医師、保健師、助産師、看護師、教諭、看護教員、母子保健事業関係者、思春期保健事業関係者等
【定  員】 200名

なお、当日受付の混雑を避けるため、ご参加は、予約制です。事前に参加のお申込みが必要となります。所定申込書は研修課へご請求ください。
【問合せ】本会研修課 TEL 03(3269)4785

 

はやね・はやおき げんきっこ

和洋女子大学人文学群 こども発達支援コース 鈴木 みゆき

二歳児の六割、夜十時以降に就寝


図1 夜10時以降に寝る幼児の割合
(日本小児保健協会)

写真1 塗り絵つきカード
(『はやね・はやおき げんきっこ』日本家族計画協会)

 大人社会の夜型化に子ども達の生活が引きずられていることを案じる声は1980年代の調査でも指摘されていた。2000年におこなわれた日本小児保健協会の乳幼児健康度調査でも、二歳児の約六割が夜十時以降に寝るという結果がでており(図1)、保育現場での調査から、一都一府二十二県1249人の幼稚園教諭・保育士の約八割が「今の子どもは睡眠不足」と感じ、「朝体温が低くて活動にのれない」「無表情」「朝ボーっとしている」などの項目と相関が高かった。家庭での生活リズム確立を懸念する声も高く、子どもの生活リズム確立には、きちんとした情報とサポートが大切であることが示唆された。
  2003年に兵庫でおこなわれた原田らの調査でも一歳六か月健診で「朝十時以降に起きる」子どもが三十人に一人の「高率」でいて「特記すべきこと」と警鐘をならされている。育児雑誌に「朝子どもが寝ていてくれると家事がはかどって楽」「予定がない日は親子でのんびり二度寝」等のコメントが寄せられる今、養育者に生活リズムを身につける意味や具体的な方策を伝える努力をしていかないと改善が難しい。
  しかし、「こうしなくてはいけません」的な・助言・や・忠告・には反発も多い。そこで楽しく学べて、しかも親子一緒に取り組めるものという発想で、塗り絵つきのカードを作成したわけである(写真1)。

朝の光がヒトの生体時計を修正

 そもそも「はやね」や「はやおき」がなぜ大切なのであろうか。
  ヒトに生体時計があることはよく知られている。生体時計の座である視交叉上核は、脳の一番奥深い場所にある。ヒトはここで朝の光を認識し、元来地球の自転のリズムより若干長い約25時間といわれる周期を日々・修正・して生きている。明暗の環境によって生体時計を調整していることになる。朝の光は昼行性の動物であるヒトの一日の始まりを演出しているわけで、「はやおき」は重要なポイントなのである。「はやおき」して昼間しっかり運動すると夜はつかれてぐっすり眠る。ぐっすり眠っている間に様々なホルモンが分泌され、私達の身体を整える。成長ホルモンは寝入りばなのいちばん深い睡眠時に分泌されるのが普通である。メラトニンも夜周囲が暗くなってから分泌されはじめ眠気を誘う。幼児期に分泌のピークを迎えるこのホルモンは、抗酸化作用ととともに思春期まで二次性徴を抑える役目を担っている。昨今のデータでは、睡眠不足は肥満につながること、情動面の安定を欠くこと、そして初経が早くおとずれてしまうことなどが指摘されている。睡眠不足は認知・記憶の障害を引き起こすといわれる点からも、「はやね」をする重要性はいうまでもない。

育児の入口で専門家が支援を

 子どもの生活習慣は発達初期に確立されると後が楽である。そこで育児にかかわる専門家に以下の点をお願いしたい。
  一つは科学的根拠に基づく情報の提供である。育児期の親達は「はやねはやおき」が望ましいこととは知っていてもそれ以上の知識を学校時代に得ていない。ここは保健センター等育児の入口にある親たちへの働きかけが不可欠だと思われる。
  二つ目は「できるところから」を合言葉に具体的な行動を示すことである。例えば「朝、カーテンを開ける」とか「夜子守唄をうたう」など、わかりやすく実行しやすい約束をしていくことである。
  三つ目は地域でつながりをもって夜子どもを見かけない街づくりをしていくことである。社会全体が夜型化している今、親達を責めても問題の本質は解決しない。ワーク・ライフ・バランスや地域の様々な機関と連携して、地域で育てるネットワークづくりが求められていると思う。
  今こそ、子育ての入口にいる専門家がきちんと情報を提供し、地域の子ども達の健やかな成長を願う連携を作って、その中核を担うべきと考える。専門家集団のご活躍を祈念してやまない。

編集帖

▼国連開発計画(UNDP)は、「開発の基本的な目的は、人々の選択肢の拡大により、長寿で健康かつ創造的な人生を享受するための環境を創造する」こととし、その達成度をみるために、「平均余命」、「子どもの就学率」、「一人当たりの国内総生産」の三つの指標から割り出した人間開発指数(HDI)を報告している。これによると日本のHDIは調査国中八位の0.956である。
▼1975−2005年のHDIと合計特殊出生率との関係を検証した米国の研究チームは、HDIが0.85−0.90に達すると出生率が上昇するが、日本は出生率回復が進まない例外国と英科学誌に先月報告した。
▼UNDPによると、日本はジェンダー・エンパワーメント指数が58位となっており、他の先進諸国との差が際立っている。女性の社会進出度が高い先進諸国では、出産や育児等を支援する様々な施策が採られ、それが出生率の回復に寄与していると覗われる。
▼スウェーデンの非営利調査団体「ワールド・バリューズ・サーベイ」では、1981年以来97か国35万人を対象に、「どのくらい幸福か」について「幸福度調査」を行っている。この調査では出生率の回復した先進諸国は上位にあるが、日本は中南米12か国、東南アジア六か国を下回る43位である。人々の幸福度は生活水準と強く相関すると言われている。しかし中南米やアジア諸国が日本より上位に位置していることから、幸福度は、家族や地域共同体との関係や宗教等とも結びついていることが推察される。
▼日本は今、経済的にも社会的にも日々の暮らしを脅かす諸問題が山積しており、それらの根本的な解決なくしては幸福度も上がらない。ゆえに出生率の根本的回復も遠く及ばない。  (HK)

 

 

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