性感染症に関する特定感染症


予防指針が6年ぶりに改正

 昨年の11月30日、性感染症に関する特定感染症予防指針が6年ぶりに一部改正された。平成4年3月18日の読売新聞「ピル解禁を・凍結・、エイズまん延懸念」の記事以来、低用量経口避妊薬(ピル)の審議が凍結され承認まで7年余を要したことは記憶に新しいが、今回の改正では前文から「低用量経口避妊薬の使用が性感染症の増加の要因になるとの懸念が指摘されていること」が削除されたこと等、本会の悲願が実った。本会ではピルの審議凍結の報を受けて、同年4月、「エイズのまん延防止は、ピルの問題とは直接のかかわりはなく、エイズの正確な知識の普及、性教育の推進、感染機会のある者が適時にコンドームを使用するよう周知徹底することでなし遂げられるものである」「ピルがエイズ感染を拡大させるという確たる調査研究をもたない」等をまとめた「ピル認可延期に関する本会医学委員会の見解」を明らかにしている。ピル発売から7年。この間のピル処方に際しての性感染症罹患状況等の調査結果が今回の改正を導いたといえる。改正では他に、「コンドームの予防効果に関する普及啓発」等が盛られている。

 

第6回「青少年の性行動全国調査」(2005年)の概要社団法人日本性教育協会



表1「青少年の性行動全国調査」の調査地点と調査対象者数


表2調査対象者の構成







 今回で第六回を迎える「青少年の性行動全国調査」が開始されたのは1974年からで、それ以後、1981年、1987年、1993年、1999年と、ほぼ六年間隔で続けられてきた。この種のテーマや対象で30年以上にわたって続けられた調査は、国内はもちろん国外でも類例はきわめて少ない。質問項目の中には、第1回目から継続的に用いられたものも少なくなく、日本の青少年の性行動や性意識の変化を全国規模で時系列的に把握することができることから、近年では、国際的にもその意義が認知されてきている。
〔文責=「青少年の性行動全国調査」調査委員会 原純輔、片瀬一男〕

「青少年の性行動全国調査」の特徴、ねらい

 第一の特徴は、継続的に行われてきた調査ということである。継続調査は、類似あるいは同一の質問を用いることによって、着目する社会や集団(今回の調査でいえば日本の青少年)の「変化をとらえる」ことにある。すなわち、この調査の基本的な目的は、これまでの調査結果と比較することにより、生理的・心理的・行動的な側面にわたって、わが国の青少年の性的経験(デート、キス、性交など)が年齢に伴ってどのように進行するかを明らかにするとともに、その進行状況の時代的変化を明らかにすることにある。また、性をめぐる規範意識、性知識やその情報源など、性にかかわる青少年の意識の実態とその変化を明らかにすることも、毎回の変わらぬ目的となっている。
 もちろん、青少年の性行動や性経験については、青少年をとりまく社会的背景に関連させながら理解することも重要である。今回の調査では、とりわけ近年の情報化の流れが青少年におよぼした影響に着目し、携帯電話の利用による友人関係のあり方の変容や、インターネットによる性情報の流れの変化と関連づけながら性行動の差異の原因を解明することも試みた。
 第二の特徴は、地域的・年齢的な偏りのない青少年の性行動の現状を明らかにする、というねらいをもっていることである。このため、中学生から大学生までを対象に、なるべく多くの多様な地点での実施をめざしてきた。
 調査は、2005年11月から2006年3月にかけて実施された。その結果、中学生、高校生、専門学校生、大学生、合計1万1,147名から調査票を回収することができた。そこで、このなかから全国の生徒・学生数の分布を考慮しながら、地点・学校段階・学年・性別に一定数を割り当てる形で無作為抽出を行い、最終的には5,510の標本を今回の分析対象とした(表1&表2参照)。

〔主要な結果〕

 まず、ここでは主要な性経験として(デート経験・キス経験・性交経験)をとりあげ、この30年ほどの間に(ただし、中学生の調査は1987年以降である)学校別・性別にどのような変化が起こったか示しておこう(なお、以下の分析では専門学校生は大学生に含めて分析している)。

本調査を今後どう生かしていくか

 以上のような現実に対して、本調査が果たしうる役割について考える必要があろう。たとえば、調査の結果を性教育の現場などで、どう生かしていくかということである。
「青少年の性行動全国調査」は、主にマスメディアの報道を通して社会に知られてきた。しかし、上述したように青少年に対する影響力の大きいマスメディアに対して、どう情報を発信していくかは大きな問題である。マスメディアがとかく表面的な数字にのみ飛びつきやすく、細かい分析にまで言及してくれないのは、大きな悩みであった。
 また、マスメディアがとくに刺激的な扱いをしなくても、公表された数字自体がいわば「統計的誘導」をひきおこして、「こんなにも多くの人が経験しているのだから……」というような、思慮のない行動の要因となる可能性もないではない。
 しかし、今後は、調査対象者である青少年に対して、調査結果を積極的に提示していくことが重要であると考える。これまでは、教師向け、(マスメディアを通して)世間向けのみに情報発信が行われてきて、調査に協力してくれた青少年に対して、結果を直接還元することがなかった。調査の結果と、それについての調査者側の(つまり上の世代の)考え方を、副読本やパンフレット、あるいはインターネットのウェブサイトなどの情報伝達手段で青少年に伝え、青少年自身に考えてもらうことこそが重要であると考える。
 青少年自身に調査結果を投げ返し、内容を考えてもらった上で再びこちらに投げ返してもらう、こうしたキャッチボールをすることが本調査の意義・内容を高めることにつながるのではないだろうか。

 

 

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